質問
酵素サプリか酵素ドリンクでダイエットに挑戦したいと思ってます!
酵素って、実際のところ効果あるんでしょうか?(23歳女性)
ズバリ、残念ながら酵素サプリメントや酵素ドリンクを
飲んでも痩せる効果はありません!
酵素って何?
食べ物の消化したりエネルギーを作ったり、骨、筋肉、内臓などの細胞を新しくしたりといった化学反応のことを「代謝」と言います。この代謝の時に触媒(仲立ち)をしてくれるのが「酵素」と呼ばれるものです。酵素はDNAのメッセージにより作られる「タンパク質」の一種です。
酵素というと有名なのが、「消化酵素」ですが、その他にもエネルギーを作る酵素や、DNAを複製する酵素など色んな酵素があります。
酵素サプリで痩せると言っている謳い文句
酵素サプリメント・酵素ドリンクを飲んで痩せる「酵素ダイエット」のサプリメントを販売しているサイトなどの宣伝文句で多いものをご紹介します。
●酵素は一生で作られる量が限られている
●年齢と共に体内の酵素は減っていく
●体の中で酵素が減ると代謝が悪くなり太りやすくなる。だから体の外から酵素を摂る必要があり酵素を摂ることで代謝があがる。
●酵素は熱に弱いので、あまり加熱しない生野菜や果物、そして酵素サプリメントや酵素ドリンクで摂る必要がある
●加熱した食べ物は生きた酵素が死んでしまい酵素が含まれていない
などなど。
ほとんどの酵素サプリの商品がこのようなとんでも理論で酵素を摂るだけで、代謝が上がりダイエットがうまくいくと連想させているものが多いです。
そしてこれらの多くが間違っています。
酵素サプリでは痩せる効果がない理由
酵素サプリで痩せる効果の謳い文句が間違いで、痩せる効果がない理由は大きく4つあります。
1、酵素は一生、体内で作られ続けることができる
酵素が年齢とともに減ることはありません。なぜなら酵素はDNAの指令によって作られるタンパク質の一種です。
ということは、DNAが存在している限り、言い換えれば生きている限り一生、酵素は体内で作られ続けます。
酵素は体外から摂取して作られるものではなく、自前で作られるものです。
なので、体外から酵素を摂っていないからそれが原因で代謝が落ちることはありません。
ということは、酵素を摂るから痩せるということもありません。
※主酵素の材料のタンパク質や補酵素の材料となるビタミンやミネラルを摂取しておくことが前提です。
2、酵素を体外から摂取したところで分解されてしまう
酵素はタンパク質の一種ですので、仮に食べ物や酵素サプリメントで体外から酵素を摂ったとしても、酸や高温によって変性してしまいます。
そして胃や小腸で消化される時に、アミノ酸や細かいペプチドまで分解されてしまいます。
なので、食べ物や酵素サプリメントで体外から酵素を摂ったとしても、酵素が分解されずに酵素の効力を失わないまま体に作用して代謝を上げることはありません。
よって、痩せることはありません。
3、酵素は適した環境でしか作用しない
酵素サプリメント・ドリンクで謳っている酵素の働きは、主に「消化酵素」と「代謝酵素」のみです。
ただ、酵素の働きはこの2つだけではありません。生体内の様々な反応に関わっています。
例えば、知覚や運動に関係している酵素などもありますし、その他にも様々な働きがあります。
また酵素は、その働きの環境(酸性・アルカリ性の度合い(pH)、最適温度や濃度など)に合わせ、一番効率よく働く特徴があります。胃や腸だけでも環境が違いますし、細胞の中で働く場合でも環境が違います。酵素だけでは単独で働けずにビタミンなどの補酵素の働きが必要なこともあります。
このことから、体外から入れた酵素が体内で働くかどうかは環境があっているかによります。酵素を体外から入れて消化されるまでに働ける環境になければ、その酵素は働くことないまま役目が終わります。
そして何より、酵素は体内で自前で必要に応じて作られ、量や、働き具合が調整されています。
なので、体外から酵素を入れて補うということ自体、基本的な考え方から大きく外れていることなのです。
とは言え、2でも言いましたが、体外から酵素を摂取したところで胃や腸で分解されてアミノ酸やペプチドになるだけです。
結局は酵素として働くことがほとんどないので、やはり意味がありません。
4、生食は消化に悪い?
酵素サプリを用いたダイエットではよく「加熱したものばかり食べると消化管は消化酵素を出して疲れる。だから酵素を含む生野菜のジュースや酵素ドリンク・スムージーで体を休めよう」と言っています。
でも、よく考えてみてください。
生肉と焼いた肉では消化がいいのは焼いたお肉ですよね。
焼くことにより、食材が柔らかくなり食べ物の消化がよくなり栄養の吸収がよくなります。
また食べ物に混入した病原菌やウィルス、寄生虫も死滅しますので衛生的にもよいです。
生では食べられなかった弱い毒性を含んでいる食材も食べられるようになります。決して生の方がいいというわけではありません。
ただ、これらは熱を加えることで破壊されるので、加熱することで安全な食材になります。
※豆知識 「アク抜き」という言葉がありますよね。これは主に野菜の調理で行われますが、野菜はもともと動物に食べられてしまわないように、微量の毒を持っていると言われています。ニンジンに含まれるアスコルビナーゼがビタミンCを酸化することは知られています。また山菜や貝類に含まれるアノイリナーゼはビタミンB1を破壊します。だから馬は本能的に山菜類をあまり食べないそうです。
とはいえ、加熱によって分解されやすい栄養素があるのも事実なので生食のメリットもあります。
例えば新鮮な生野菜は茹で過ぎたりすると栄養素が抜けてしまうので生で食べた方がビタミンの摂取がよくなります。
ただ、世の中で言っている健康メリットが得られるほど野菜からビタミンを取ろうと思うと果てしない量の野菜を食べなくてはいけなくなるので、個人的にはビタミンに関してはサプリメントで摂取した方が効率がいいです。
まとめると、人類がまだ火を使っていなかった原始時代よりも寿命が長くなったのも、火を使って加熱して色んな食べ物を負担なく消化できるようになったからなので、過度に加熱することをよくないと思う必要はないです。
酵素は体内でDNAのメッセージにより作られるタンパク質の一種です。
なので、酵素を作るための材料であるお肉やお魚、卵などのタンパク質を意識して摂取した方が必要な酵素を作ることができるということです。
ということは、酵素を体外から摂取する意味はあまりなく、それよりもタンパク質をしっかり摂取した方が、消化や代謝に働く酵素が作りやすい環境になるということです。
その方が代謝が上がりダイエット効果が高まるということです。
酵素ドリンクを飲むファスティングダイエットはリバウンドしやすい!
ブログ管理人のダイエットスタジオに来られるクライアントさんにカウンセリングをすると、ほとんどの方が酵素ドリンクを飲むファスティングダイエットをしてリバウンドされた経験をお持ちです。
その苦い経験をしたからこそ、王道のダイエットである食事を見直し、食材を選んでしっかり食べ、筋トレをして代謝をあげるダイエット方法に取り組んでくださり成果を出されています。
ここまで読んでくださったあなたにはもうおわかりだと思いますが、酵素ドリンクを摂ってファスティングしたとしてもダイエット効果が高まるわけではなく、単に食べないダイエットをしているにすぎません。
ファスティングをすることで「腸内環境を整える」「断食療法」「宿便が出て健康になり体重も落ちる」というものをよく宣伝で見かけます。
断食をすると黒い便が出る。そして下痢が続き、時間とともに体が楽になることがあるそうです。
私が普段から参考にさせていただいているメジャーリーガーのダルビッシュ選手などを指導されている山本義徳氏の著書で知人の医師の言葉がこう紹介されていました。
何百件もの腸の手術を経験した医師に言わせれば「宿便などは存在しない」とのこと。最初に出てくる黒い便は、実は腸内細菌の死骸です。栄養が入ってこなくなったことにより腸のエネルギーが枯渇し、腸内細菌は死滅してしまうのです。宿便などではありません。
アスリートのための最新栄養学(上) P43より引用
山本義徳(著)
ファスティングをすると食べていないので一時的に体重はかなり減ります。
ただ、この時減っているのは、
少しの体脂肪と多くの筋肉です。
筋肉が減れば基礎代謝が落ちます。
基礎代謝が落ちれば、食事を元に戻した時に、今まで太らなかった食事量でも太りやすくなってしまいます。
そして、食べない期間の反動で以前より余計に食べてしまいやすくなり、リバウンドしてしまう。
これが酵素ドリンクを飲んでファスティングをしてダイエットした時の現実です。
デトックスとしての意味合いで取り組むのならまだいいのですが、ダイエットの為に取り組むのはオススメしません。
腸内環境をよくするなら
よく酵素ドリンクを飲んでファスティングをしてダイエットする時に腸内環境をよくすることが大切と言います。
ただ、酵素ドリンクを飲むと腸内環境が整うことはありません。(復習になりますが、胃や腸で酵素として働く前にアミノ酸やペプチドに分解されてしまいますので。)
では、腸内環境をよくするにはどうしたらいいのでしょうか?
腸内環境を整えるオススメの方法は水溶性食物繊維のイヌリンを一日に10グラム摂取することです。
(食後に1回2〜3gを3回摂取するとオススメ)
イヌリンは大腸で、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌を増やしてくれます。
そして、大腸菌とブドウ球菌(悪玉)を減らしてくれる効果もわかってきています。
イヌリンは、腸内でバクテリアの餌になります。
善玉菌を多く含んだヨーグルトもオススメではありますが、それらの大半は胃で胃酸にやっつけられてしまいます。
実際に腸まで善玉菌が届く量は残念ながら少ないのです。
そのことから、善玉菌を腸に送るだけではなく、善玉菌の餌になるイヌリンを送って善玉菌を自然と増やすことが得策です。
ということは、善玉菌を送る量は少なくなるが、善玉菌を含んだヨーグルトを食べるかつ、善玉菌の餌になるイヌリンを摂取する腸内環境がよくなります!
1ヶ月ほど、試してみてください。
腸内環境が整って体調が良くなったり、お通じ、お肌の調子が良くなりやすいのでオススメです。
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まとめ
・酵素サプリ・酵素ドリンクにはダイエット効果はない
・ファスティングダイエットは食べないダイエットと同じで少しは脂肪が減るがたくさんの筋肉が減りリバウンドしやすい
・ファステイングダイエット中の黒い便は宿便ではなく腸内細菌の死骸
・腸内環境をよくするなら一日10gイヌリンを摂取するとオススメ
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